2005.8.30 ”セレブな整形” レビュー
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セレブな整形
Z.ポール・ローレンス/著 T.ホール/著 安藤由紀子/訳
文芸春秋 、2005年8月発行
整形関連の書籍はなかなか書店に並ばないので、アマゾンで通販してみました。 |
なぜ”A
LITTLE WORK BEHIND THE DOORS OF A PARK AVENUE PLASTIC SURGEON”の原題が邦題で”セレブな整形”になってしまうのかはおいといて、帯には
「キャサリン・ヘプバーンからシャロン・ストーンまで、NYのトップ美容外科医が”お直し”の実態を暴露する。
痛くない、傷跡が残らない、すぐ終わる、はウソ」
表表紙の裏側には
*傷跡が残らない手術はない
*脂肪吸引でセルライトは除去できない
*手術は痛い
*ヒップへのインプラント、唇へのシリコンやゴアテックスの注入はすすめない
*優秀な美容外科医は派手な宣伝はしない
*麻酔が命取りになることもある
*医師の妻の写真を見れば、彼の美的センスがわかる
*手術の効果は永久には続かない
*料金が安い治療には飛びつかない
と、多大な症例数から導き出したであろう美容外科医である著者なりの意見が箇条書きにされています。
唇にゴアテックス??
耳慣れない言葉なので読んでみますと
"科学的にはポリテトラフルオロエチレンと呼ばれる合成繊維で、人体にインプラントすることができる。場合によってはきわめて効果的たが、そうでない場合も。最悪なのはゴアテックスやソフトフォーム(ゴアテックスの別名)を唇にインプラントした場合だ。ゴアテックスのように硬い物質を口のように絶えず動く部分に注入するのはまったく意味をなさない。微笑んだり唇をすぼめたりするたび、上唇にレンガが入っているような表情になる"
・・(^^;
アメリカの美容外科番組などを見ていてもわかるのですが、日本と違って、アメリカではとにかく分厚い唇を好む人が多いのです。
逆に日本ですと、分厚い唇の女性が不美人としてマンガに書かれているのがおもしろいですね。
読んでいて「いかにもアメリカだなあ」と思ったのは、胃のバイパス手術で減量したという患者さんの例。
日本だと「8キロの減量に成功しました!」というと、拍手喝さいがおきますが、こちらでは50キロ減とか、72キロ減とか・・
人間一人分肥満して、そこから一人分やせるのですから、当然皮膚が余ってしまいます。
そこで、”太もものリフト”があるのだそうです。
そけい部を切開し、余分な皮膚を切り取って縫い合わせる手術です。
ただし、痛みが大きく傷跡が非常に大きく残る場合が多いので、ドクターとしてはジムに通うなどの他の方法をすすめているのだとか。
”一度、手術台に登ったら引き返せません”という慎重なコメントもあります。
”手術の効果は永久には続かない。永久を望むなら、ダイヤモンドを買うほうがよい”
という言い回しには、うまいこというなあ・・と感心しました。
フェイスリフトにしても、ボトックスにしても、一時的に若い印象を与えてくれますが、20年後も同じ顔ではない、というのは至極当たり前の話ですものね。著者は、フェイスリフトの効果は7〜8年と述べています。
医者同士の醜い足のひっぱりあい
(本当に優れたドクターなら、他人の悪口をいう時間すらも惜しんで、自分の技術を磨くほうに割り当てると私個人的には思うんですが)
ちなみに著者は、有名なドクターのカウンセリングをたくさん受けている患者さんに
「あなたが話していたドクターなら、どなたのところにいらしても問題はないと思います。どの先生もみな一流です、あとはご本人が決めるほかありません」と答えていますね。立派だと思います。
ハリウッド俳優
”本人が否定している場合、整形手術を受けたセレブをどう見分けるか?
スパースターが(中略)”美しさの秘訣”について語るのを聞くと、私はつい大笑いしてしまう。美しさの秘訣は本当のところ、これ以上は無理というところまで手術を重ねると同時に、定期的にありとあらゆる注射を美容外科で受けることだからである”とあります。
過度な美容整形が、トップスターとして脱落しないための必要条件になってしまったことを
”命の限界まで整形手術を続けるか、タオルを投げ入れてカンザスに帰るか”と表現していますね。
こちらに症例のわかりやすいサイトがあるそうです。http://www.awfulplasticssurgery.com/
画像はこのあたりにありました。下にあるNext Setをクリックするとさらにたくさんの画像が見られます。余った皮膚を切り取るほどのたるみに驚きました。
術後の入浴について、「傷跡の保護」だけが目的だと思っていたんですが、手術直後に熱いお風呂につかって顔がアザだらけになり、グロテスクに膨れ上がった患者さんの症例が挙げられていました。熱いお風呂は血管を拡張させて、腫れがひどくなってしまうのだそうです。
顔の神経と筋肉組織の関係をもっと勉強したい、と考えた著者は、解剖用の人体を購入して研究・手術の練習をしたのだそうです。(1993年、頭部ひとつが400ドルだったとかかれています) ここで得られた知識と経験は、生身の体への手術に大変価値のあるものだった、と結ばれています。
バストへのインプラント
”破裂は外傷によって生じる。ある患者はロッククライミングをしたとき、パートナーが彼女の上に落ちてきて、そのときにインプラントが左右とも破裂した。残念ながらインプラントは交換せざるを得なかったが、永久的な損傷や傷跡が残ることなく回復した。どのくらいの力がかかったときにインプラントが破裂するか、これで大体わかってもらえると思う。セックスでは絶対にやぶれない”
脂肪吸引について
”脂肪吸引をダイエット代わりに利用するべきではない。時間のかからない痩身法として気楽に考えてもらっては困る。これは太ももやヒップや腹部などの特定の場所に脂肪が蓄積され、とんなに運動しても標準体重まで落とせない女性のための治療法である。
深刻な肥満状態に陥っている人に対しては、緊急を要さない手術を美容外科医が行ってはいけません。きちんと運動しているのに、特定の部位の脂肪がなくならない人にとって脂肪吸引は完璧な治療法です”
まずはダイエット、吸引は最後の手段、という点で、私も全く同じ意見です。
著者は、2年かけて68キロ減量した女性患者さんに、吸引とあわせて皮膚ごと切り取る腹部形成手術を行っています。
苦笑したのは”男性患者のほうが手に負えない”でした。何度も念を押して禁止した薬を飲んでいて、それを隠していたり、度重なる指示にもまったく耳を貸さず、毎日電話をかけてきたり・・ クリニックのスタッフも、大きな赤ちゃんのような男性患者には手を焼いているそうです(笑)
平気でウソをつく患者
”手術の一週間前には血が薄くなるアスピリンのような薬はやめてください、どんな影響がでるか把握できないハーブ系のサプリメントもすべてやめてください、手術前後の二週間は禁煙してください、手術前に食事をしないでください”
と繰り返しているにもかかわらず、患者さんが報告せずに飲んでいる薬剤による合併症は起きるし、煙草をやめない患者さんの傷跡は見苦しくなると著者は嘆いています。
抗鬱剤を飲んでいることを黙っていた女性患者は、血圧がありえないくらいに上がって手術を中断。
手術前に内緒でハンバーガーを食べてきた男性患者は手術台で激しく嘔吐したそうです。
”嘔吐物を肺に吸い込んだ場合、死ぬかもしれない、というのに”
年齢についても、60歳以上の人は徹底した検診が要求されます。医学的に必要な重要項目として年齢を聞くのですが、年齢をごまかす患者さんがいるのだそうです。
”満足のいく手術をするためには不可欠なのに”と著者もおかんむりです。
術後にタバコを吸う患者さんについては、まったくタバコをやめなかったヘビースモーカーの患者さんのキズの治りの悪さと、瘢痕となった傷跡を修正するために手術を必要とした例を数件挙げていました。
日本と同じだなあ、と思ったのは、鏡を見ないで術後の不満を述べてくる患者さんたちの様子でした。
手術を受けて明らかに良くなっているのにもかかわらず、自分が思い描いていた状態と違っている、と乗り込んでくるのだそうです。日焼けとタバコが原因で老け顔だった女性、手術前の写真をまともに見ようともせずに、「よそで受けた友達はキレイになったのに・・」と(笑)
どこの国でも、現実を見ない、扱いにくい患者さんはいるものですね。
最後まで疑問だったのは「脂肪が2キロは取れます」という、キロ単位での記述でした。
日本だと必ず○cc、ですよね? 2キロcc ということでしょうか?
書ききれなかった興味深い記述もたくさんありますので、興味のある方はぜひ一度読んでみてください。
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