「いやあ、いいよおいいよおプチ整形。顔にメリハリがでるし、鏡見るのが楽しくてさー」
それを聞いた母ちゃん60歳が黙っているはずはなかった。

「そお? じゃあこのシワもなんとかなんない? 口元がたるんできて、ババ臭いんだもん」
そういいながらシワを両手で引っ張る母ちゃん。
母親の顔なんてまじまじと見たことなんてなかったけど、そういう目(美容関係者のような目)で見てみると、やっぱし気になる小ジワがあちこちに目立ち始めている。

「んならいっちょ、いってみますか? アンチエイジング。フォーッフォフォフォフォ・・・・」

悪魔と書いて娘と読む、にそそのかされた母ちゃん、気がつけばもうカウンセリングルーム。
「気になるところはどこでしょうか」 ドクターに聞かれると
「いや、もう全部変えちゃって下さい」 
・・・あのなあ母ちゃん、パーツは変えられないんだよ。修理しに来たわけじゃないんだから・・

全部変えたいってのはおでこ、両頬など広範囲にわたっての小ジワを改善したいという意味なのね、
と前向きにとらえ、ドクターと施術方針について話し合う。
シワがその場できりっと消えるのはヒアルロン酸注入やボトックス。しかし、それだと注入した部位のみしか改善しない。
あっちもこっちも・・という母ちゃんには、サーマクールをお勧めしてみたいところなのだ。
これは前回のレポートでちらっとご紹介した、メスをいれないフェイスリフトのこと。
客商売をしている母ちゃんは長い休みが取れないため、メスを入れるフェイスリフトは不可能。
それならば、日帰り可能なサーマクールのほうがなおさらいいだろう。

「それではサーマクールについて簡単に説明します。これは、たんぱく質が熱凝固するという性質を利用したものです。
例えは悪いですが、お肉を焼くとぎゅうって縮みますよね? あれと同じなんですよ。皮膚の下に熱照射をして、顔全体をきゅっと引き締めるのです」

夜型なのですでに眠そうな母ちゃんにかわって娘である私が質問に入る。

「欧米ではすでに施術数も多く、効果も上がっていると聞きますが、日本ではどうなのでしょうか?」
「この機械そのものが日本に入ってきて数ヶ月なので、コーカソイド(白人)のデータはあってもモンゴロイドの長期的なデータがまだ十分にそろっていないのです。しかし、今までこの施術を受けた方の8割以上に効果が認められています」
「じゃあなおのこと母ちゃんに体験してもらって、長期的にその経過を見てたいものですね・・よし! そのサーマクールでいってみましょう! いいよね? これで」

「そうねえ、私もようわからんけどメスいれて手術するようなのはいややわぁー」 

娘の”サーマクールがどんなものか知りたいだけ”の陰謀に担がれたともしらない母ちゃん、施術金額の支払いをすませ、注意事項の説明に聞き入る。

「熱を照射しますので、本来はかなりの痛みを伴います。これについては麻酔をかけますが、あごの骨に近いところは多くの方が痛みを感じます。また、人によっては軽い水ぶくれを起こすこともあります。また、赤みが残る場合もありますので、その点は事前にご理解くださいね」

ああ、なんて正直なカウンセリングなんでしょう。だめだめなクリニックだと「全然痛くないですよ」と患者さんに説明して、特別痛くなかった人だけをサンプルとして取り上げて、痛みを訴えると「痛いといったのはあなただけです」とかいってごまかしちゃうんだろなあ。

最初にこうやっていってもらえるだけで、どれだけ患者さんの気持ちが楽になることか・・・

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   施術への準備にはいります